シン・ウルトラマン
約4年ぶりの記事がこれかい(笑)
私は特撮ガチじゃないので、講釈を垂れるような知識はないのですが、鑑賞後すぐにした下記ツイートだけではフラストレーションが残りまくった…
今作品、評価はいろいろあろうとも、ネタばれしても語りたくなる魅力は確かにあります(笑)
シン・ゴジラは、原作のエッセンスである怪獣の怖さ、強さという部分を上手く取り上げて、現代社会に持ち込むという作業が非常に上手くまとめられておりました。私の好きな作品です。その流れで今作にも期待しておりました。
で、シン・ウルトラマン。全体として、原作ウルトラマンにあった牧歌的な緩さは程よく残されつつ(さすがに子供が基地を出入りするようなことはなくなりましたが)、複数の怪獣・宇宙人の個別のエピソードをうまく一本のストーリーにつないでおりました。原作はじめ過去の映像作品へのオマージュはこれでもかとぶち込まれているようで、わかる人は更に楽しめたのでしょう。
面白くはあったのですが、ぶっちゃけ、次の点が好みじゃないと感じました。以下ネタバレ含みます。
- 怪獣・宇宙人のチョイス
- 禍威獣・禍特対のネーミング
- 禍特対の掘り下げのなさと、そこに由来する有能性の希薄さ
- ウルトラマンのデザイン
- 三段変身
まず1点目、怪獣・宇宙人のチョイス
これはまあウルトラマンという1年近くに渡って放送された長大な原作から、新作映画を1本だけ製作する訳ですから取捨選択は避けられないことで、その上でウルトラマンというタイトルの下で何を再構築するかという製作スタッフの判断の結果であろうし、おそらく原作から受けた印象も個人個人で差異もありましょうから、良い悪いの話ではなありません。個人の好みです。好みですが…
やはり個人の意見としてウルトラマンの中でジャミラは外して欲しくなかったし、ザラブ星人よりはバルタン星人だろうと思うし、ラストでの禍特対の奮起を促す流れに向けてはジェロニモン・ピグモンのエピソードは欲しいところ。シーボーズやスカイドンといった、決して「怪獣を殺す」ことを目的としない精神性も原作ウルトラマンの中で大事なエピソードだったと思うのです。
対宇宙人のお話はウルトラセブンでいっぱいやるので、私の中でウルトラマンは対怪獣の話のイメージが強いのかもしれません。とはいえ、メフィラスは登場したこと自体もその描写も良かったですよ。
2点目、禍威獣・禍特対のネーミング(というか当て字)
これは、単純な違和感。暴走族みたいな当て字にしか見えず、安っぽいじゃないですか。だいたい禍威獣ってのが既に略称にしか見えない。その上で禍威獣特設対策室の略称が禍特対になるか、という話。○○対策××の略称で、対の一文字を持ってくるのなんか聞いたことがない。
この辺の不要なこねくり回しも、シン・ゴジラと比べると見劣りするなあという印象になってしまいました。
3点目、禍特対の掘り下げのなさと、そこに由来する有能性の希薄さ
これはツイートにも書いた尺不足に由来すると思うのだけれど、これでは西島秀俊の無駄遣いも甚だしい。オスカー作品の主演男優ですぜ。仮面ライダーBlackリメイクの主演ですぜ。
早見あかりもセリフは多いけど、個性は特段に表現されず。冒頭の禍特対発足までのダイジェストの中でペギラの弱点を発見した女性科学者…が彼女だという可能性もありますが明示はされず、既婚設定も生かされた気配なし。
有岡大樹はラストの展開でのキーになる人物で、本来は劇中メフィラスが語る「地球人に無力さを知らしめる」格好の餌食となりながらも、最後に自分を取り戻すという重要な役割なのでしょうが、 当初からネガティブ発言が多く、メフィラスのせいで無力を感じたようにはあまり見えませんでした。原作で近い役回りのイデ隊員は長いシリーズの中で、当初の明るいキャラクターから「どうせウルトラマンが来てくれるんだ」発言に至るまでの流れがありましたが…
主役の斉藤工が演じる神永も、ウルトラマンと一緒になる前の描写がほぼないので、身を挺して子供を守ったという以外の人となりが見えてこず、なぜウルトラマンが彼の生命を救ったのか、そして彼だけではなくに地球人全体に固執したのか。ゾーフィに「そんなに地球人が好きになったのか」と言わしめるだけの説得力のある描写は最後までみられませんでした。まあ「好き」を直接的に表現しようとするとチープになるだけなので、いい塩梅lというのは難しいですが、何せ接点が少なすぎるのです。
長澤まさみは既視感の強いサバサバ姉さんキャラ。いい加減食傷気味です(笑)。斉藤工=ウルトラマンのバディとして、ザラブのエピソードでは彼を救出までする重要な役割のはずですが、公安のカガミが既に斉藤工の信頼を得てる感じがあって彼女の立ち位置がイマイチ微妙(カガミはミラーマンだという考察が一部にあるようですが)。挙句に盗撮映像の対象になったり匂いかがれたりとセクハラの餌食に。あんまりです。
4点目、ウルトラマンのデザイン
体色を変えるってのは、カラータイマーを付けるより大きなデザイン改変じゃないかと思いました。個人的な見解に過ぎませんが、真実と正義と美の化身は赤だからこそ美しいんじゃあるまいか。
最後に5点目、三段変身
斉藤工が長澤まさみに託したベータシステムの理論を、奮起した有岡大貴が解読、世界中の学者とゼットンの破壊方法を研究して得た結果が、ベータシステムで更に2回大きくなったウルトラマンがぶん殴る、てアンタ…
まず、劇中でベータシステムでの変身・巨大化は別次元から物質を持ってくるという説明をし、巨大化したボディの構成物質は本来のものとは違うという表現がなされていました。その上で、メフィラスは地球人がベータシステムに適合することを希少というように言っています。
であるならば、ベータシステムへの適合性はシステムを運用する上で把握しておくべき重要事項であるだろうし、その中で多段変身の可否なんかは基本事項であろうと考えるのが道理ではないかと思うのです。そして、もし多段変身なんてことができると分かっているのならば、ウルトラマン自身がゼットンへの最初の攻撃でそれをしなかった理由が分からない。
4段目、5段目の変身をすれば楽勝でぶっ飛ばせたのでは?と思ってしまいます。
そう、ウルトラマンは3段変身したけど4段目はしなかった。なぜ。
個人的には、ウルトラマン自身のものに加えて、ザラブとメフィラスのベータシステムの計3台のベータシステムを使ったというお話にしていれば、最初に多段変身で挑まなかった理由付けもできるし、4段目がないことも必然だしなあ、と思ってしまいます。
ひとつのベータカプセルで多段変身しちゃチート過ぎてダメですよ、やっぱり。
とまあ不満点をあげつらいましたが、全体としては良く練られた作品でしたし、ゼットンの造型を含めリファインされた怪獣も趣深いものでしたし、何といっても懐かし音楽が素敵でした。
次のシン・仮面ライダーにも期待しましょう。
P.S.個人的にはシン・仮面ライダーより期待している白石和彌監督の仮面ライダーBLACK SUNが、劇場公開でなくアマプラと聞いて結構ショックを受けています(笑)
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