高市と放送法と出家詐欺
放送事業者側が声高に「放送法4条は倫理規定に過ぎない」と叫ぶ世の中になったら怖いなあ、と思いまして、クロ現やらせ問題からの総務大臣放送法174条発言まで、ちょっと整理しようとしました。
元の番組を見てないので、どうしたって核心には近づけないので断念しましたが(笑)
あまり報道されてなさそうなネタもいろいろ拾えたので、書いておきます。
(1)そもそもの出家詐欺事件について
- 主犯とされている三浦道明の容疑は約1億3,000万円の詐欺であるが、そのうち出家詐欺とされているのは約3,000万円に過ぎない。
- 三浦の父も同じ三浦道明で、円満院門跡という由緒ある寺のトップであったが数々の怪しいビジネス(水子供養とか在家得度とか)を始めるとともに、トラブルも多数起こして門派から排除されたお方。
- 詐欺事件の方の三浦道明は元は三浦光道といい、その名前でELIC京都校日本語科というところで入国ビジネス詐欺?の前科あり(2008年頃)。
- 入国ビジネス詐欺の後に父と同じ「道明」に名前を変えた模様である。同じ名前にするくらいだから、父親へのリスペクトがあったのだろう。
- 要するに被告は詐欺常習犯で、出家詐欺は手口のひとつに過ぎない。僧侶だから僧侶っぽい手口が目立っただけ、というのが実態か。
(2)放送法から見るNHKの統制体制について
- 放送法81条に「協会は、国内基幹放送の放送番組の編集及び放送に当たつては、第四条第一項に定めるところによるほか、次の各号の定めるところによらなければならない。」とあるので、NHKは特段これを守る強い義務があると考えるのが妥当。
- 監査委員会について、同法43条に監査委員会の権限として「監査委員会は、役員の職務の執行を監査する。」とある。 ・役員は、「経営委員会の委員のほか、会長一人、副会長一人及び理事七人以上十人以内」(同法第49条)
- 同法第44条には「監査委員会が選定する監査委員は、いつでも、役員及び職員に対し、その職務の執行に関する事項の報告を求め、又は協会の業務及び財産の状況の調査をすることができる。」とある。
- 財務諸表や会計は、それぞれ監査委員解とは別に会計監査人や会計検査院が見ることになっているので、監査委員会の仕事は業務の執行が主と考えて良いかと。
(3)クローズアップ現代の後のNHKの調査報告書やその他の対応の問題点
- 調査委員会に(なぜか)監査委員は入っていない。
- 調査内容はザルで内部擁護の嵐。
- 再発防止策もザル。5月に改めて再発防止策が公表され、チェックシート導入を定めたものの、基準不明確な例外を認めており、意図的にザルにした印象が極めて強い。
- 監査委員会活動結果報告からは、平成28年1月12日公表分までこの件についての活動は認められない。その1月12日の報告では、「導入から半年が経過した時点での再発防止策の評価と検証も行った。」とあるが、その評価結果は述べられていない。エビデンスまで公開しろと言う気はないが・・・
(4)放送法4条とか174条とか
- 放送法第4条はやはり倫理規定くさい。
- 内閣総理大臣や総務大臣が放送事業者に対して規制的な行動ができる規程は、同法違反に対する業務停止命令(第174条)以外にない。
- 第174条は、総務大臣が業務停止命令を出せる対象を「放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)」としているので、NHKやらその他の地上波放送やってるようなテレビ局その他の放送事業者は対象にならない。
- 特定地上基幹放送事業者は5年毎の免許更新制(放送法第96条の認定と電波法の免許制がリンク)。
- 直近の免許更新事には総務大臣が条件文と要請文を付けている。条件文は「教育番組10%以上、教養番組20%以上を確保すること」。要請文は「放送法の規定及び自ら定めた番組基準を遵守し」といった倫理的な内容。
(5)総務大臣発言とか自民党とか
- 自民党は、政権与党とはいえどもいち政治団体に過ぎないのだから、放送事業者に事情聴取とか何様。
- 総務大臣がNHKを呼びつけたのはダメかというと、それは内容による。記者会見で述べたように再発防止策があいまいだから質した、ということであれば、特定の放送内容について意見したのではないからシロ。
- NHKを念頭に置けば放送法第174条の業務停止命令は的外れ。放送事業者一般に対してというなら正論。
- NHKに対しては、総務大臣は予算関係でコントロールすることもできるので、業務停止命令で縛るって発想は不要ですわなあ。
ということで、まとめると「みんな滅茶苦茶言うてるんちゃうの?」て感じ・・・
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